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2009/03/09

卒業式 式辞

固定リンク | by:新井田大

   弟61回卒業式 式辞
 雪を頂く吾妻の山並みが明るい陽光に輝き、吹く風にも春の息吹が感じられるこの佳き日に、梅花の薫りに包まれた思い出多い学舎を巣立っていく卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 本日は、来賓各位のご臨席のもとに、福島県立福島高等学校第61回卒業式を挙行できますことは、本校教職員全てにとって大きな慶びであります。また、我が子の成長を見守りこの日を迎えられました保護者の皆様には、感慨も一入と拝察いたします。本日は誠におめでとうございます。
 卒業生の皆さん、皆さんはこの3年間、「花咲き実りて世のためたたむ」と、高い志の実現へ向けエネルギッシュに活動してきました。一見無謀とも思われる、2兎も3兎も同時に追い求める姿が随所に見られました。しかし、これがまさに福高生であり、福高生に期待されているものです。部活動で活躍し、梅苑祭に歓喜し、書を読み、芸術を愛し、そして研究者や専門家を目指し勉学にいそしむ。あるいは地域医療への情熱を語る。未来を託すことのできる、才気溢れた誠実な福高生が育っていることに何にも代え難い喜びを感じています。
 皆さんは入学した時から、常に「より高いものを目指す」事を期待されてきました。期待を担うことは名誉であると同時に、辛いことも合わせて引き受けることです。将来様々な分野で、指導的な立場となり活躍することを嘱望される者に課せられる、超えなければならないハードルでもあります。
 能力はそれに相応しい場と、活動の自由を得てその真価を発揮します。ニュートリノ検出に関する研究でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生にとって、その場はカミオカンデであり、皆さんにとってのその場は「自由闊達な校風」を大切にするこの福島高校ではなかったでしょうか。
 明晰な頭脳は幅広い活動を通してさらに明晰さを高め、同時に視野を広げ洞察力を高めることができます。皆さんが様々な場面で示した存在感、達成感溢れる笑顔、知性の片鱗、それらはまさにこのことを実証しています。皆さんの姿は一つ一つの情景と共に、教職員、在校生の胸に思い出としてしっかりと刻まれています。
 さて、今、世界は「グローバル化」という大きな力に動かされ、効率や高い収益性を求めて人間が作った制度やシステムが綻び、混乱しています。人間が作るものに、完全はないことを如実に示しています。しかし、日本や世界が人間の営みに起因する困難に直面したのは今回だけではありません。その都度、知恵を出し合い方向を見極め乗り越えてきました。人間が作り出した困難は、人間の英知で乗り越えられ事を示しています。私たちはここに、将来へ向けての希望を見いだすことができます。
 それにしても、厳しい社会状況の中での、卒業となりました。皆さんには、「視野を遠くに放ち」、将来進むべき方向を間違えないようにして欲しいと願っています。そのために今やるべきことは、遠くを見据えて足下を固める事です。高い志と旺盛な好奇心を持ち続け、じっくりと広く深く学び続けることです。同時に、多くの人と幅広く良好な人間関係を構築し、相手の体温や息遣いまでも伝わる、生の情報のやりとりができる状況を作っておくことです。
 私たちの社会は思想、信条を異にする、様々な人間が集まり、関係性を持つことで、成り立っています。その関係性が希薄になった時に、人間は孤立し閉塞感を感じ、未来への
展望を見失ってしまいます。未来を託せる福島高校の卒業生には、じっくりと学び、共に未来を語りあえる同士を得て、明るい展望を切り開くパイオニアになって欲しいと思います。そのためにも、自分の進むべき方向も、社会全体が進むべき方向も間違えない選択を皆さん一人一人にして欲しいと願っています。
 かつて、大航海時代に、コロンブスやマゼランは北天に輝く不動の北極星を標に、未知の大陸や航路発見へと大海原に出帆して行きました。福島高校には、「清らかであれ、勉励せよ、世のためたれ」という「梅章の教え」があります。これは、本校生にとって北の空に輝くゆるぎのない北極星です。これを標として、新たな世界に挑戦して行って下さい。
 最後になりましたが、本校創立110周年の記念すべき年度に卒業する皆さんが残した数々の実績は、本校の新たな歴史として確実に刻まれ引き継がれて行きます。
 今後進むそれぞれの道で、福島高校で学んだこと、経験したことを生かし、「世のためならむ」と、大きな志を持ち、大成することを心から願い式辞とします。
      平成21年3月1日
                    福島県立福島高等学校長 新井田 大
 

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